絵画・絵本工房フェースofワンダー


●仲間の想いが生んだアートスペース

産声を上げたのは1995年頃。当時、町田養護学校に勤めていた金子が、絵画や造形の大好きな卒業生の表現活動の場として立ち上げたのがフェースofワンダーの始まり。作業所や仕事の帰りに、活動場所として借りた夜の作業所にお弁当やラーメンを持って集まり、好きな音楽をかけて活動を楽しんだ。
何かをものするぞといった気負いもなければ、指導という肩肘張ったものもない。制作を始める時間もてんでバラバラ。その時々の気分でチラシや段ボールを使って、好き勝手に何かを生み出していった。
時には仲間たちの作品の上にごしごしクレパスで色を描き殴ったり、びりびり破って、自分の作品に貼ったり・・・そこには表現そのものを楽しむ不思議なアート空間が存在していた。
フェースofワンダーの名前には、そんな不思議世界の自由な仲間たちという意味が込められている。



●ジプシースタイルでいこう!

働く仲間たちのアートスペースとしてスタートしたフェースofワンダーだが、宣伝なんか全くしないのに、いろんなところで同じようなアートスペースが欲しいという声が聞こえてくるようになった。
現在は町田、蒲田、溝の口、長津田などの7カ所でフェースofワンダーは活動している。小学生や働く仲間たち、障がいのある仲間もいれば、ない仲間も集まってきた。年齢や仕事も地域も違っているけれど、一緒にアート時間を楽しみたいという想いがフェースofワンダーを作っている。
活動スペースは、作業所や公共スペースを借りての相変わらずの間借りだ。たくさんの画材を抱えて、あっちへ行ったりこっちへ行ったりのジプシースタイルだ。どこかに活動拠点を決めて展開するという定住スタイルもあるけれど、フェースofワンダーにはジプシースタイルが似合っているのかもしれない。「アートしたい」という声があれば、そこに行ってフェースofワンダーの種をまく。小さな、小さなアート空間を作っていく。みんなと一緒に楽しむ時間を育てていく。





●フェースofワンダーの表現メソッド

表現は何でもありの自由な行為だ。どんな素材・画材・画法もOK。仲間たちのかけがえのない線や色彩、形、タッチ・・・そんな表現が生まれるために、必要があればオリジナルな絵筆や絵の具、画用紙、画法も大胆に作っていく。絵筆が苦手な仲間には、割り箸にたこ糸をつけてしっぽ筆というオリジナルな叩く絵筆を作ったり、仲間の描きなぐり作品を使って新たな共同作品にしたり、作業の好きな仲間には、鳩目抜きを使った穴あけ作業をアートにした穴あけ絵画を創造したり・・・手が動いていなくったって、その場に仲間と一緒にいることが楽しければ、それをアートに結びつけていく。
一人一人がそれぞれのスタイルでアート活動を楽しむ。その追求が新しいアートを生んでいく。





●フェースofワンダーの夢

仲間たちの描いた直接的な作品にある種の感動を覚える方は多い。不思議な優しさに包まれたり、元気になるという声が多い。そんな表現に触れたいという声に押され、各地で作品展を開く機会にも恵まれてきた。
フェースofワンダーの夢は、その感動をもっと多くの人に届けるための絵本作りだ。
仲間たちの線や色彩、形、タッチをかけがえのない楽器、音になぞらえると、それらをより豊かに表現するためのオーケストラになりたいと思っている。一人の画家ではなく、一人の作家ではなく、何人もの仲間たちが集まり、あるがままに奏でるいくつものメロディーや音を組み合わせ、自由で心を揺さぶる交響曲を作る。それがフェースofワンダーの絵本のイメージだ。いつかそんな絵本を世に羽ばたかせたいと願っている。
(実践・作品については学研「アートびっくり箱」参照






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